大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)3947 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における被告人Aの国選弁護人に支給したる訴訟費用は同被告人の

負担とする。

理 由

被告人本人A及び同被告人の弁護人築山重雄の各上告趣意について。

右はいずれも量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

被告人Bの弁護人小田良英の上告趣意第一点について

原判決が被告人Bの量刑の当否を考察するにあたつて「被告人両名共本件以外に

なお同種の犯罪を犯している事実、被告人Bについては未遂であつたとは言え堕胎

手術の要請を受けて実施している点云々」と説示しているのは措辞妥当を欠くきら

いがあるが、原判決の趣旨とするところは、本件記録並びに第一審の取調べた証拠

に現われた前示のような事情を含めた諸般の事情を考慮すると、控訴趣意において

主張されたような被告人にとつて有利な事情を勘酌しても、その情状は決して軽い

ものではないということを示したものと解すべきであり、所論のように被告人が公

訴提起のない犯罪を行い、同意堕胎罪を行つたが故に、他にどんな有利な事情があ

つても執行猶予を与うべきではないとの趣旨を判示したものと解すべきものとは認

められない。

されば、原判決は公訴提起のない事件について審判し、既に無罪とされた行為に

ついて刑事上の責任を問うたものでないことは極めて明白であるから、所論不告不

理の原則違反及び憲法三九条違反の主張は何れもその前提を欠き採用することがで

きない。

同第二点について。

原判決には前示のように法令違反は之を認めることができないから、所論は結局

- 1 -

量刑不当の主張にすぎない。

なお本件記録を精査しても、各被告事件とも「著るしく正義に反するもの」とし

て、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条三八六条一項三号、一八一条により主文のとおり決定する。こ

の決定は、裁判官全員一致の意見である。

昭和二八年五月二七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!